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夜明けまでのセレナーデ
第12章 夜明けまでのセレナーデ 〜epilogue〜
「…薫…。怒っているの?」
暁人の不安そうな声が、背後から聞こえる。
…溺れそうに激しく甘く濃密な情事のあと…すぐに返事などする気になれない…。
十八世紀初頭の古いアンティークの寝台の上は、目も当てられないほどに寝乱れている…。
天蓋のサテンに至っては床に落ち、無造作に踏みしだかれている。
…耳の遠い老犬のカイザーが起きなかったのは、幸いだ。
薫は不貞腐れた表情のまま、わざとブランケットを被ってやった。
「当たり前だ。無理やり四回もして…!
最初なのにそんなに盛る奴がいるか、ばか!」
ため息混じりの苦笑が伝わる。
「…ごめん…。
薫が可愛すぎて…止められなかった…」
しおらしい言葉と同時に、温かく逞しい腕が首筋に絡められる。
「…薫が良すぎてたまらなかった…。
薫の身体は、魔性だね。
良かった…。
今まで誰にも奪われなくて」
「いやらしい言い方をするな。ばか」
くるりと振り返り
「お前…、随分変わったな。
以前はこんなに自分を明け透けにしなかっただろう?
暁人はいつも礼儀正しくて品が良くて穏やかで…」
手を取られ、熱い唇を押し付けられる。
「…変えたのは薫だ。
僕の人生はいつも薫に変えられてきた…」
真摯な澄んだ眼差しと交わり、どきりとする。
「…薫が僕をこの世に引き戻してくれた。
…僕が僕であることを、思い出させてくれた…」
…ありがとう…
と、愛を込めて囁かれるのを、やや乱暴なキスで受け止める。
「…随分待たせたけどな」
憎まれ口を聴いたその唇にすぐさま与えられたのは、楽園の蜂蜜よりも遥かに甘い、恋人の口づけであった。
暁人の不安そうな声が、背後から聞こえる。
…溺れそうに激しく甘く濃密な情事のあと…すぐに返事などする気になれない…。
十八世紀初頭の古いアンティークの寝台の上は、目も当てられないほどに寝乱れている…。
天蓋のサテンに至っては床に落ち、無造作に踏みしだかれている。
…耳の遠い老犬のカイザーが起きなかったのは、幸いだ。
薫は不貞腐れた表情のまま、わざとブランケットを被ってやった。
「当たり前だ。無理やり四回もして…!
最初なのにそんなに盛る奴がいるか、ばか!」
ため息混じりの苦笑が伝わる。
「…ごめん…。
薫が可愛すぎて…止められなかった…」
しおらしい言葉と同時に、温かく逞しい腕が首筋に絡められる。
「…薫が良すぎてたまらなかった…。
薫の身体は、魔性だね。
良かった…。
今まで誰にも奪われなくて」
「いやらしい言い方をするな。ばか」
くるりと振り返り
「お前…、随分変わったな。
以前はこんなに自分を明け透けにしなかっただろう?
暁人はいつも礼儀正しくて品が良くて穏やかで…」
手を取られ、熱い唇を押し付けられる。
「…変えたのは薫だ。
僕の人生はいつも薫に変えられてきた…」
真摯な澄んだ眼差しと交わり、どきりとする。
「…薫が僕をこの世に引き戻してくれた。
…僕が僕であることを、思い出させてくれた…」
…ありがとう…
と、愛を込めて囁かれるのを、やや乱暴なキスで受け止める。
「…随分待たせたけどな」
憎まれ口を聴いたその唇にすぐさま与えられたのは、楽園の蜂蜜よりも遥かに甘い、恋人の口づけであった。