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夜明けまでのセレナーデ
第3章 Tango Noir 〜禁じられたお伽話〜
「…我々二人で…て…まさか…!」
紳一郎の白絹のような肌が一瞬にして蒼ざめた。
「…そう…。
十市くんとの約束はこうだ。
君を十市くんとともになら、愛してもいいと…。
…つまり、下衆な言い方をすれば私が君を抱けるのは、十市くんの出征までと帰国後だけだ。
…あまり私に分がある約束には思えないがね。
まあ、いい。
私は君を独り占めしたいわけじゃない。
…君が愛する人に抱かれる表情と…そして、その愛する人に見つめられながら、私にどのような表情で抱かれるのか…。
私のもっとも知りたいのはそちらなのだよ」
…愉しげに打ち明けながら、逞しい腕が、紳一郎を引き寄せた。

「いやだ…!離せ!十市!」
抗いながら十市を振り返る。
…しかし、男はラテン系ヨーロッパ人の彫像のような貌に苦渋の色を滲ませ、紳一郎を見下ろしているだけだ。

「…坊ちゃん…。許してくれ。
あんたを残して行く俺に出来ることはこれだけなんだ。
…あんたを安心して託せるひとはこのひとしかいない。
…青山様はあんたのことを俺の次に理解しているし…それに…」
アレキサンドライト色の瞳が、紳一郎を見据えた。
「…あんたも本当は、このひとに惹かれているんだ。
だから…許してくれ…」
「十市…!嘘だ、そんな…!」
悲鳴のような声を上げる紳一郎の貌が優しく引き寄せられる。

「…君の恋人は実に賢く…そして愛情深い…。
愛とは分け合うものだと分かっているのだ」
唄うように美しいバリトンが告げる。
「ふざけるな…!…誰があなたなんかに…!」
突っぱねる腕をいとも簡単に封じ込められる。
「…いいかげん素直になりなさい…。
…紳一郎…」
熱を帯びた声が名前を呼んだかと思うと、震える唇を大胆に奪われた。
「…んっ…あ…んん…」
…その温度も、舌の熱さも、強さも…十市とは、何もかも違う口づけ…。
…それなのに…。

「…んんっ…は…あ…」
…青山の口づけは、情熱的だがしなやかで…まるで巧みなワルツをリードするような余裕を持ったものだった。
決して自らは溺れずに、ひたすらに紳一郎の快楽を探り当てるような老獪なものですらあった。

「…い…や…あ…」
絡められる舌を必死で解こうと身を攀じる。
甘く痺れるような快感の波が押し寄せること…何より、ほかの男にキスされているのを十市に見つめられている事実が、紳一郎を激しく混乱させた。

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