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《リベンジ☆ラブ…恋になるまで…》
第1章 成り行きのままに
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それから数日後。
残す受験も終わった夕方、帰宅した綾香は部屋にあがりバレンタインのチョコレートを持って中山家に来ていた。
母親の楓に呼ばれジャージ姿の慎吾が玄関に現れチョコレートを受け取る。
『あがる?』
『いい』
『あっそ』
『学校でね』
そんなあっさりした渡し方のバレンタインであるが、楓の方が喜んで家にあがるよう勧める。
『楓おばさんありがとう、でも直人兄が帰ってくるから家族でご飯食べにいくの。また来ます』
『綾香ちゃんチョコレートをありがとう』
慎吾にあげたチョコレートは本人よりも母親からお礼を言われていた。
スーパーの特設コーナーで買った500円の安物ではあるがラッピングとシールをつけてもらっている。
つき合いに承諾して最初のバレンタインだからこそ他の女の子と同じようにウキウキした気分を味わってみたかったのかもしれない。
だけど蓋をあけてみれば菓子のお裾分けみたいな慎吾の反応に肩透かし感はありながらも、幼馴染みから早々甘い雰囲気にはならないと思い直す綾香であった。
所詮成り行きのまま承諾した感じもなきにしもあらず。