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第1章 成り行きのままに

休憩時間も終わり教室へ戻る階段を下りる唯を後ろから眺める綾香は羨ましくなりため息をつく。

親友の唯はこんな容姿。
ポニーテールの髪が歩く度に揺れ襟足をなぞる感じが同性から見てもかわいいと思う。
テレビで見るアイドルみたいに胸もあってウエストは細くてお尻はでてる。
同性から見ても羨ましいと思うんだから男子目線からだと尚更つき合いたいと思うのかな？

それに比べてあたしは…
唯と同じ黒髪でもあたしはショートカットで襟足をなぞるようなポニーテールじゃない…
全体的に上から下まで細くて小学生から成長してないんじゃない？

どうして容姿って平等じゃないのかな？
唯みたいにならないのかな？
唯みたいになれば今日みたいにクラスの子からからかわれなくて済むと思うの…

「綾香？喋んないの？」
黙る綾香に振り返って唯が問う。

「唯みたいに生まれたかったな…」
眼だけを細めての無理矢理な笑顔をつくるあたし。

「綾香のお母さんってボンキュボンだから綾香は成長期って事じゃない？がんばっ、だよ」

唯…
なんだか泣けてくる…


…※…※…※…

学校から３０分歩いた場所、青山団地に綾香の住む一軒家はあり、隣の一軒家には中山慎吾が住んでいる。

「綾香どうしたの？」
帰宅した綾香の様子を察した綾香の母・森部のり子が心配そうに顔を覗き込む。
ううん…
言えない…
何故あたしは容姿が小学生みたいなの？
って聞けない…

ボンキュボンなら唯みたいな遥斗くんがあたしにも…