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便利屋
第1章 トモの場合
トントン

「マッサージ終わりましたよ。」

優しく肩をたたかれ私は起こされた。
正直、無防備な自分を見られて恥ずかしかった。

「ずいぶんお疲れのようでした。。だいぶ凝っていましたよ。」

それを聞いていつの間にか体が軽くなっているのに気づく。

「何か体が軽いです。ありがとうございます。」

「目覚ましにこちらをお飲みになりませんか?」

そう言うと高木さんは小さめの湯飲みに入った飲み物をベッドサイドのテーブルに置いてくれた。

「いただきます。ありがとうございます。」

優しい緑茶の香りが広がっていく。
手に取ると心地よい熱さだ。

「美味しい」

あまりの美味しさに思わず出てしまった。

「ありがとうございます。私の地元のお茶です。昔からこのお茶を飲んできたので、田舎から取り寄せているんです。」

何しに来たのかが忘れてしまうぐらいのこ意外で落ち着く時間だった。
『その時』は突然お茶を飲み終えて一息着いた瞬間にやって来た。
高木さんが優しい表情は変えずに真剣な目で私を見つめる。

「幸本さま、これから特別マッサージを行います。不快になったり、止めて欲しいと思われた時はお伝えください。すぐに中止いたします。なお唇へのキスはいたしますが、今の時点で『おまかせ』をご希望されない限り、私からはいたしません。ご希望の際には私のどこでもよろしいので、2回たたいてください。使用するマッサージオイルはこちらでよろしいでしょうか。」

高木さんは言い終えるとオイルの入った小皿を手渡してくれた。
香って見ると確かにあの風呂と一緒の香りがしたような気がした。

「はい。」

としか私は言えなかった。
一息つくと高木さんは今までよりも低く落ち着いた声で言った。

「では、始めますのでまたベッドに仰向けになっていただけますか。」

私は言われるがままベッドに横になる。
途中で寝てしまったとはいえ、まだ身体は高木さんの手の感触、温もりを覚えている。
高木さんはそっと私の顔に、今までにさわった事の無いような心地よい肌触りのタオルを掛けた。
私の視界は奪われ、他の感覚が研ぎ澄ましされる。

「オイルを垂らしますよ。」

ぬるく、滑らかな感覚を足首の辺りに感じた。
オイルの感覚と一緒に、他の誰とも違う高木さんの手の感触がそこにあった。












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