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幸せな家庭の、クチュクチュ妻。
第1章 いずみ
愚痴に付き合って、貴重な休日を終わらせるわけにはいかない。聡太は動いた。
「どう、いずみさん。静かな所に行きませんか?」
この日のクロージングは、聞き役に徹しすぎて中途半端だった。ラブホテルの駐車場で、主婦のいずみは助手席から降りようとしない。
「いずみさんが、嫌がる事はしません。たまにはゆっくりお風呂でも浸かって、肩揉みくらいサービスしますよ」
笑顔で好青年?を装うが、この主婦より自分は年上だ。
なんとか部屋に連れ込み、バスを使わせる事に成功した。いずみはバスローブのまま、聡太のいるベッドへと近づいて来る。
ここで、女が私服を着て、バスから出てくる様だと脈はない。
ラブホ休憩代は勿体無いが、今日の狩りは不発だったと諦めて、エロDVDを見て不貞寝するしかないのだ。

いすみへのクロージングで悩んでいると、向こうからチャンスをくれた。
「マッサージしてくれるんでしょ?」
「もちろん!さぁ、横になって」
女をうつ伏せに寝かせ、肩から肩甲骨に指を這わせる。
若い頃からぎっくり腰と背中の痛みで、整体やカイロプラクティックに通っていたお陰で、マッサージの腕前には自身があった。
背中に触れると、主婦の筋肉は強張っていた。家事やパートも大変なのだなと聡太は思う。
肩甲骨と逆側の腰部に手を置き、斜めに引っ張るように揉み解す。腰は両側から外に向かって揉み、背筋に沿って背骨脇を指圧する。
「ああ、気持ちイイ」
どうやら、聡太のマッサージをお気に召した様だ。
太ももから足首へ向かい、アキレス腱あたりの「第二の心臓」と呼ばれる筋を揉んで行く。
ふくらはぎから足首くらいまでの筋肉内は、疲労物質が溜まる場所と言われている。全身に疲れを感じたら、温めてから、程よいマッサージと湿布が効果的だ。
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