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有翼神は翼無き女性を愛する~異世界の溺愛恋模様
第5章 俺様登場悪魔ティア

「ティアの嫁なんて絶対にイヤ!!」
「それで?
今の貴様に、俺様を弾き飛ばす力でもあると言うのか? でなければ奪う、それが悪魔だ」
「私の……力……」

 回復系の力ではティアを退ける点で私は無力、悔しいけど反撃出来ないの。ロールプレイングゲームと同じよ、僧侶系は攻撃に向いていないあれ。
 それでもなんとか反撃出来ないかと周りを見ても、ここにあるのはソファーとリャナンシーが置いて行った沢山の紙だけ。

「動けもしないか」
「…………」

 睨み付けたって、ティアに効果がないのは分かってる。でも、最低限でも反抗したい私、でも……。

「……きゃぁぁ!?」
「捕まえたぜ。後は俺様の神殿でのお楽しみだ」
「嫌っ、嫌って言ってるの!」
「貴様の意思など知らん、俺様は俺様のやりたいようにやるだけだ。ルーキフェルも同じだろエイミス」

 軽々とティアにかつぎ上げられ、私はルーキフェルの神殿からティアの神殿へ連れて行かれる。
 お言葉ですけど、ルーキフェルはこんな超強引な真似はしてないからね。
……と、強がってはみるけど、本当はティアが怖い。私の話を一切聞かず、自分の意思のままに行動するのが私には恐ろしく感じるのよ。

(宙を……。
まさか、こんな風に飛ぶ空を見るなんて思わなかった)

 ティアの漆黒の翼が羽ばたき、一気にルーキフェルの神殿から舞い上がった。雲と雲の間にも雲があり、その下に微かに見える下界と、空にまばらにある雲と神殿。
 そして飛んでいる最中に私にも見えた、リャナンシーが言っていた一際大きい雲。他より巨大な神殿と、周りには幾つもの店のような建物が並ぶ、普通とは雰囲気が違う雲海の中心。
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