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日曜日の産婦人科
第1章 相談
「では、お大事に。」

貴方のその言葉を合図に、その場にいた看護師が次の患者を呼ぶために場を離れる。そのタイミングで私は貴方に、そっとメモを渡す。

「先生。相談があります。
ここ数年、私、おかしいんです。性欲が抑えられません。毎日でもセックスしたくて、たまらないんです。夫とは、もう何年もないので、どうしようもなくなると、見ず知らずの男性と。。。してしまいます。これも更年期障害の一種でしょうか。先生、こんな症状を抑えられる薬はないでしょうか?」

上の子の妊婦検診から通っている産婦人科。今は定期的に婦人科系の疾病がないかどうか検診のために通院して、およそ20年。
最初は開業したてで、青年医師だった貴方の頭髪にも、今は白いものが混じっている。それだけ歳月が流れたのだ、もちろん、私の上にも。。。
こんな中年女になってから生じた身体と心の異変。閉経を間もなく迎える年齢になって、私は自分の中に悪魔を宿してしまった。

貴方は、メモを一瞥すると、全く表情を変えずに、私にこう告げる。

「では、明日、10時に再診察します。来れますね?」

「明日?ですか?明日は日曜日ですが。」

「そうです。仕事はお休みでしょう?」

「はぁ。。。わかりました。」

狐につままれたような気分で診察室を出る。
会計を済ませ、診察券を確認する。

「休診日、木曜日、土曜日午後、日曜日。」

やっぱり、日曜日は休診日。。いいのかしら。。
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