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日曜日の産婦人科
第2章 日曜日の診察 1回目
翌日の日曜日、私は指定された10時に、病院に向かう。

入口には「本日、休診」の札がかかっている。恐る恐るドアを開ける。鍵はかかってない。昨日とちがうのは、待合室が薄暗く、いつもは笑顔で迎えてくれる受付の女性も、他の患者も、つまりは誰もいないという点。

 待合室で立ちすくんでいると、いつもの通り院内放送で、「診察室にお入りください。」という貴方の声が聞こえる。私は昨日と同じように診察室のドアを開け、貴方の前の椅子に座る。

「先生、あの、時間外なのに、すみません。別に、ものすごく急いでいたわけではないのですが。」しどろもどろに話しだす私を遮るように、貴方はカルテに目を向けたまま私に尋問する。

「メモに書かれていたような症状は、いつ頃からですか?」
「……五年ほど、前からです。」
「何かきっかけはありましたか?」
「夫が、私と行為をする前に、直前まで若い女性の映像を見てからでないと、できないことに悲しくなりました。そのうち何をしても、夫は私とは最後までできなくなり。。。そうまでして、夫と肌をあわせる意味も見いだせなくなりまして。。」
「自分で慰めることは、ありますか?」
「え?」
「オナニーはしますか?」

こんな質問に答える必要があるのだろうか。何か落ち着く薬をもらえれば、それでいいのに。いや、自分で恥ずかしい相談をしているのだし、医者からの質問なのだから。
 
「……はい、時々。」
「それだけでは、満足できない、と。」
「はい。」
「男性との行為で、達することはありますか?」
「??」
「セックスでイケますか?」
「正直、ありません。自分でする時は、大丈夫なのですが。そのためには、自分だけに集中しないと無理で。そうすると、相手に悪い気がしてしまって。」
「相手は、どんな人ですか?」
「……若い方です。性欲を、もて余しているような。途中で、ダメになってしまう人とするのは辛いので。」
「何人くらい?」
「同じ方と続いていた時期もありますので…。でも、のべで十人くらいです。」

貴方は、表情を変えないまま、カルテに何かを書き込んでいる。今はこの場にいない看護師にも、このカルテは見られてしまうのだろうか。  

「では、内診しましょう。隣へ。」
「内診、するのですか?」
「いつもしてるでしょう。それに、今の話で少し心配な部分もあるので確認しないと。」
「。。はい。」
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