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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第1章 寺井夏美は、なにを考えているのだろう?
アパートの部屋にインターホンの音色が鳴り響き、僕は玄関のドアを開けた。
「どーも」
とてもライトな挨拶を口にすると同時に、寺井は躊躇なく部屋の中に入ってきた。
「ああ、うん……」
玄関のところで立ったままの僕をよそに、寺井は冷蔵庫を勝手に開くと、手に提げていたコンビニ袋からペットボトルを取り出し、それを次々と中に入れた。
「買ってきたから、後でテキトーに飲んで」
「ありがと」
僕はなんとなく手持ちぶさたに、まだ開いたままのドアから、外の様子を眺めている。
そんな僕を不思議そうにみて、寺井が言った。
「なに? ボケッとしちゃって。さっさとドア閉めたら」
「いや、別に――というか。山岡と加藤は、一緒じゃなかった?」
「ああ、今日は急に用事ができたからって」
「は?」
「聞いてなかった?」
「き、聞いてないよ。用事って、じゃあ――」
「うん、あの二人はこない。つまり、今日は二人だけだね」
彼女――寺井夏美は、いつものように素っ気なく、僕にその事実を告げた。