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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第2章 順番としてはキスからだけど、その次は?


 当たり前だけど童貞の僕が、現実の場面で女子の胸を目の当たりにしたことは皆無だった。今まさに、長年の願望のひとつが叶えられようとしている。

 寺井夏美の上半身は、現在なにも着けておらず。その背中の艶めかしさが、僕の興奮を煽る。そして、彼女がこちらを向いた姿を想像するだけで、身体の中の血流が〝とある一部分〟を目指し駆け巡りそうだった。

 まるで高級料理のメインディッシュを覆う、釣り鐘型の蓋が開かれるのを待ちかねるように。僕の期待は無限に、高まろうとしていた。

 そして、それが極限に達しようとするタイミングで、ついに寺井が僕の方へと向き直ったのだ。

「――!?」

 しかし――

「うーん……これは、かなりハズい……」

 寺井は窄めた両肩を抱くように、クロスさせた両腕で胸をしっかりと覆い隠した。そうして僕を上目づかいに仰ぐ。

「やっぱ、見たいの?」

「うん!」

 この日一番の明瞭な発声で、僕は即答していた。更にこくこくと、何度も頷く。

 最早この高まり切った欲望に対し、自分を欺くことができなかった。

 だけど僕がわかりやすく期待をかけたことで、逆に寺井の方はさっきまでの勢いを減速させたようである。

「先に言っとくけど……そんなに、いいものじゃないと思うよ」

 寺井が恥ずかし気に胸を覆った両手にきゅっと力を込めると、期せずして寄せられたふたつの膨らみが、はっきりとした谷間をこしらえている。

 その様子を備に見つめ、僕はゴクリと喉を鳴らした。

「寺井の胸、僕に見せて」

 その愚かな懇願を前に観念したかのように、寺井は渋々とした感じでありながらも、ゆっくりと両腕を下ろしていった。そうして――

「――!」

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