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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第2章 順番としてはキスからだけど、その次は?


 言葉の意味を、なんとなく察して。

「ああ、じゃあ」

 僕はいそいそと、身に着けているTシャツを脱いだ。そうして同じく上半身を裸にした上で、寺井の顔色を窺うのだけど。

「……」

 おや? なんか、反応が冷たいような……。

 さっきまでとは一転して、寺井はその表情に明らかな失望を浮べた。

「あの……なんか、気に障ることでもあった?」

 なぜか急に機嫌を損ねたような、寺井によって醸し出される空気。それに耐え兼ね、僕は率直に訊ねたのだけど。

 そんな僕に冷ややかな目を向け、寺井は言った。

「私は、等価交換と言ったの!」

「え? だから、ほら――」

 シャツを脱いでるし。お互い上半身が裸なのだから、それで等価でしょ、と考える僕に。

「もしかして、バカなの?」

「は?」

 投げかけられた辛辣な言葉に、思わず唖然とした。

 それに対し、呆れたようにふっとため息をついた寺井は、朗々と語る。

「『乙女の麗しき乳頭』と『野郎の毛の生えた乳首』――その両者を、どうして等価と思えたわけ? その感性が信じられない」

「や、やだなあ。僕、毛なんか生えてないけど」

「そんなこと、今はどうでもいいから。つまり――」

 語気で僕を制しつつ、寺井はきっぱりと言った。

「私が見たいのは――ソッチ!」

 その指が差した先にあるのは、僕の股間なのであるが……。

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