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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第4章 なぜこのタイミングで、コンビニに来ているのか?
そんな状況を前にしてしまえば、僕はこう言うしかない。
「ご……ごめん」
寺井の手を汚してしまったことを、心から詫びる。
「なんで? 別に謝らなくてもいいよ。むしろ、私がやった結果というか」
寺井はそう言ってくれたけど、それだけで僕の中の気まずさを消すことはできない。
「とりあえず……拭いて」
僕は手を伸ばしてティッシュの箱を取ると、とりあえず寺井に差し出す。それから、ゆっくりと重い身体を起こした。
「想像してたよりたくさん出たから、ビックリしちゃった。あとさぁ、匂いがなんて言うか――とっても、生々しいよね。なんだろう、似た匂いの植物があったような気がする」
寺井は精子まみれの自分の手を少し嗅ぎ、あっけらかんとそんな分析をはじめている。だけど、そんなコアな話題を広げられても、それを放出した張本人が話に乗れるわけもなかった。
「そう……」
辛うじてそう応じた僕は、心の内のバツの悪さを、どう処理していいものかわからない。そんなテンションガタ落ちの僕を、もしかして気遣ったつもりだったのだろうか。
俯いた顔を覗き込むと、寺井は少し思慮した後で、こんな風に言った。
「ああ、えっと――『すごいね。出したばかりなのに、まだビンビンだよ』――とか、言った方がいい場面?」
たぶん、それは同じようなシーンで、エッチなマンガのヒロインが口にしそうなセリフということ。これがマンガであるのなら、確かにこのまま更にエッチな展開へと突き進むのだろう。
だけど現実は、当然ながら同じ展開を迎えることはない。
「いや……そういうの、いいから」