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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第6章 予期せぬオマケと、それからの日常とは?
「たぶん、私はもっと幸せを感じることができるの」
「――!」
結局、なにも言わせてもらえないまま。僕を残し、寺井は部屋を後にしていった。
「なんだよ、まったく」
部屋で一人、苦笑を浮かべて呟いた。
シャッと、カーテンを開く。夏の容赦ない日光が、一気に注ぎ込み部屋を明るく照らした。
アパートの窓からの景色は、いつもと同じで見慣れている。
順番を滅茶苦茶にしたのは、寺井の方だと思うから。はっきり言って僕にしてみたら、彼女の言い分に納得ができない気がしていた。
だけど――なにも顧みず距離を縮めてくれたのも、また寺井の方だから。そうでなかったら、僕たちの気持ちは、ずっとどこかに埋もれたままだったのかもしれない。
新たに設けられたハードルは、僕にとって決して低くはないけれど。
それでも僕は、そんな寺井のことが――。
「……」
はじめての夜を終えて見渡す景色は、やはり少し違うようにも感じた。
そう感じさせてくれた彼女のことを、僕はまた見つめていきたいと思うのである。