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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
「あ、あのさ……」
「なんすか?」
ようやく話しかけた僕に、彼女が向けたのは冷めた視線。短い言葉にも棘が感じられ、そんな態度を前にすれば、速攻で怯んでしまうのだった。
「こ……今週の実験レポート、どうしよっか?」
それ故に、頭の中で散々練り上げたフレーズは、今日も頭の片隅に追いやられている。咄嗟に無難な話題に切り替えたことで、彼女の機嫌が一層に悪くなるのは、わかっているはずなのに……。
「私、ほぼ終わってるし」
「流石! じゃあ――」
僕のその先の言葉をシャットアウトするように、彼女は厳しく言った。
「たまには、一から自力でやったらいいと思うよ。その方が達成感あるし、大体ためにならないでしょ?」
「そ、そうだよね……」
反論の余地のない正論を前に委縮する。そんな僕を尻目に、彼女は足早に講義室を後にした。
ひょんなことから僕の部屋で二人きりになると、僕と彼女はまさかの初体験を迎えることになった。
あの夜から、既に一週間近く。僕にはまだ、伝えられない想いがある。
寺井夏美のことが、好き。
言葉にすれば、それだけのことなのだけど……。