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はじめてでドタバタな夜と、その後のこと
第7章 ヘタレな僕と、不機嫌な彼女のその後は?
◆ ◆
大学からの帰り道、加藤から聞かれる。
「寺井なんだって?」
「今回は自力でやりなさい――みたいな感じで」
「マジ? まだ手付かずだぞ、今回のレポート……」
「仕方ないよ。いつも頼ってばかりだったし」
あっさりと答えながら、僕は心ここに在らず、なのだ。
今度は、山岡から聞かれる。
「なんか、怒らせるようなことあった?」
「な、なんで僕が?」
「いや、別にお前が怒らせた、とは言ってないけど」
「あ、そっか……」
慌てた僕の態度を妙に思ったらしく。顔を見合わせてから、更に山岡が言った。
「そういえばさあ。先週、どんな感じだったの?」
「……先週とは?」
精一杯とぼけた顔をしながらも、心臓はドキッと脈打っている。
「結果、部屋で二人きり――だったよね?」
山岡は、思わせぶりな間で言葉切り、そう聞いた。
「仕方ないじゃん! 二人が来ないから、こっちだって必死で――」
「当然、レポート仕上げてくれたことには感謝してる。けど、寺井の様子が変わったのって、あれからの気がするんだけど」
「そうそう! なんか前より話しかけずらいつーか。別に機嫌が悪そうとか、そういうことじゃなくって――」
山岡に同意して話に入ってきた加藤が、少し考えるようにしてから、こう続けた。
「――なんかさぁ、アイツも女子だったんだって、やたら意識させられるつーか」
「そ……そうかなぁ」
そう言いながら、二人の意外な鋭さに、さっきから焦りっぱなしだ。
普通なら、こんな場合どうするのだろう。寺井とエッチした、なんて正直に話すのはあり得ない。だけど、このまま二人になにも話さずにいるのも違うと感じる。
山岡と加藤、そして寺井。彼らとは実験の班が同じだったことで話すようになり、以来オタ的な趣味が共通だったことから一気に仲良くなった。大学に入学して、はじめてできた仲間。
お互いにとって、そうだった。