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戦場に響く鈴の音
第13章 捕縛
「んふぁ…。」
息を吸う為に鈴が口付けを止める。
切ない眼が俺の傍に居たいのだと訴える。
「身体が冷えたな…。」
鈴を抱えたまま湯船に浸かる。
明日は天音入りをすると鈴も理解をしてる。
少しでも鈴の不安を減らしてやりたいとは思うが、天音に行けば俺の婚姻の儀が否が応でも行われる。
「神路…。」
恐怖と戦う仔猫は必死に俺にしがみつく。
「どうした?」
「鈴は燕に帰るべきか?」
滝沢の言葉を気にしてる。
「そんな必要は無い。鈴は俺の小姓だ。誰にも文句は言わせん。」
「でも…。」
「鈴は帰りたいか?」
そう聞けば仔猫はすぐ様に首を横に振る。
「なら、俺と居ればいい。それを気に入らないと言う輩は切り捨てるだけだ。」
例え、俺の嫁となる女だとしても鈴を排除しようとすれば容赦なく切り捨ててやると心に誓う。
「鈴は…、神路の小姓だ。」
眠そうな眼を小さな手で擦り、欠伸をしながら鈴が呟く。
本当に色気のない仔猫だと笑うしかない。
「床に入るぞ。」
風呂の湯で身体が温まった鈴を風呂から連れ出す。
今にも寝落ちしそうな鈴の身体を手縫いで拭いて寝間着を着せてやるのは俺の役目…。
相変わらず、どっちが主だかわからない。
完全に船を漕ぐ鈴を足元に置いたまま、俺も身体を拭いて着替えを済ませてしまう。
「鈴…。」
足元に居た鈴を抱き上げれば、仔猫が小さな手で俺の着物の袂を握り締める。
必死な仔猫の背中を撫でながら寝室にある床まで仔猫を運び寝かし付けるまでが俺がやるべき事だ。
「おやすみ…。」
鈴の額に口付けをすれば、小さな寝息が聞こえて来る。
この子を守る。
それだけしか考えない。