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戦場に響く鈴の音
第15章 陵辱
鈴が居なければ…。
いや、鈴を愛して守りたいと俺自身が望まなければ彩里の様な人質になど、なんの価値もないと切り捨てて終わってただろう。
そもそも、誰かを愛さねば…。
黒崎の血すら途絶える。
俺には黒崎の血が流れてはいない。
だとすれば、直愛が風間として生まれ変わったように、俺を新しい黒崎として認めさせるしか他ない。
彩里を地獄に貶めてでも俺は鈴と黒崎の名を守ると決意する。
鈴は汚れた俺を受け入れる事を決意してくれた。
その小さくも激しい愛を俺にぶちまけては果てる鈴が俺の足元にへたり込む。
「ほら、身体を拭いて服を着ろ。湯冷めをしたら風邪を引くぞ。」
身体を拭くための手縫いを鈴の頭に掛けてやれば
「足が震えて…、立てぬ。」
と艶やかな唇を尖らせて来る。
「もっとと強請ったのは鈴だ。」
「神路の意地悪…。」
「はいはい、大事な黒崎の姫様の為に、お身体を拭いて差し上げますよ。」
冗談でそう言えば鈴が眼を丸くする。
「鈴はただの拾われっ子だ。神路の小姓であっても黒崎の姫ではない。」
「今はな。だが、いつか、お前は黒崎の主が愛した唯一の姫なのだと全ての人間に俺が認めさせてみせる。」
これは誓い…。
俺の本妻として絶対に世には認められる事のない鈴へ送る俺だけのプロポーズ…。
俺が愛おしい妻はこの世で鈴だけだと伝えてやれば、歪んだ笑顔で鈴が涙を零す。
「何があろうと鈴は常に神路の尊と歩む。」
両腕を大きく広げて俺に抱き上げろと偉そうな態度を取る姫を言われるがままに抱き上げれば鈴が誓いの口付けを交わす。
「…ーっくしゅんっ!」
素っ裸のままの鈴が色気もなくくしゃみを飛ばす。