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親愛なるご主人さま
第7章 菜穂子の手紙6


「あの・・菜穂子さま。ひとつお聞きしていいですか?

「なあに?」

「菜穂子さまはこのお屋敷で薫さまを見たことあるのでしょうか?」

「えっ!?」

 これは偶然でしょうが、私が薫様のことを考えていたら、見透かされたように、いきなりマミちゃんに薫様のことを聞かれ驚いてしまいました。

「え、ええ、一度・・・」

 なぜかドギマギしながら答えると、

「お元気なご様子でしたか?」

「う、うん、そうね」

「実は私・・・以前、薫様に罪なことをしてしまって・・」

「えっ?罪なことって?」

「いえ・・ごめんなさい・・・菜穂子様には関係ないことです・・・」

「ねぇ教えて、何のことなの?」


「・・・・私が・・J先生に妙なことを言わなければ・・・」

「J先生に・・・???」

 それ以上のことを菜穂子はマミちゃんに訊きませんでした。なんとなく想像ができたからです。薫様はご主人様のJ先生に捨てられて、そのあとK様ご夫妻に引き取られたと聞きました。その経緯にマミちゃんが絡んでいるような気がしたのです。

 マミちゃんという若いライバルの出現により、薫様はJ先生のお気に入り奴隷の座から外されたのかも・・・・(『さぁて、どっちにするかのぅ、ウヒヒッ』)J先生が二人を並べて舌なめずりしながら、比べている光景が菜穂子の脳裏に浮かび上がりました。

 美しいマゾ奴隷が痴態を競い合うようにお尻をくねらせながら、先生のモノをおねだりして、すり寄ってゆく・・・・J先生にはたまらない光景だったことでしょう。
 しかし、捨てられてゆく薫様の心情を思うと菜穂子は切なく悲しくて・・・それでいて、もしも、菜穂子がそのような立場にいるとしたら、きっと主人様に媚びるように全身の性感をヒクつかせながら、マゾの血が湧く淫らな興奮の中に身を任せていることでしょう。


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