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親愛なるご主人さま
第11章 千客万来

時計の針が7時を指してクリスマスメロディーのピアノ演奏が止まった。会場のシャンデリアの光が落されて暗くなり、大袈裟なファンファーレがスピーカーから響くとステージ上だけ明るくなった。いよいよ開演だ。待ちわびた会場から拍手が沸き上がり、口笛がピューピューと鳴った。
まずエージェントX社の細井が主催者としてマイクの前に立ち、仰々しく満員御礼の感謝の挨拶をした。ミスターXは舞台に上がらず一番後ろの主催者席で会場全体を俯瞰するように目を光らせている。サングラスを外した両眼は猛禽類の如く鈍い光を放ち左目の上下には生々しい傷痕が残っていた。闇世界での武勇の痕跡だ。細井に続いてカリスマ調教師“K”こと梶篠圭吾がステージに上がり今夜のオークションのルールや進行方法を丁寧に説明した。常連客達には毎回の分かりきった説明なので殆ど耳を傾けていないが、まだ飲んでいる酒量が多くないこともあり、ヤジも飛ばさず、品よく聞いているのは“K”へのリスペクトの証かもしれない。
「今夜は4体の奴隷オークションと余興のお披露目ショー(名前は伏せているが菜穂子のショーのことだ)を準備してございます。買占めを防ぐために今回も基本的におひとり様のお買い上げ上限は奴隷一人までです。美味しい酒や料理をめし上がりながらごゆっくりとお楽しみください」
「それと、恒例のサプライズ企画の投票もよろしくお願いいたします。各テーブルにお客様おひとりにつき1枚用紙が置いてございますので・・・」
圭吾が投票の要領を説明していると会場のVIP席の一角がにわかに騒々しくなっていた。
「なんや、おかしいやないか!」
「ぁ、あのう・・それは・・申し訳ございません・・」
「なんでじゃ、なんで君には番号札がついとらん。儂しゃ君に決めたんだ。いひひひ」
騒ぎの中心は鷹杉右京だった。テーブルに酒を運んできた菜穂子の手を握ったまま離さない。
「ええおなごや!このカバンの中には金が山ほど入っておるでなぁ。競り勝って儂が君を持って帰る。ええな!名は何というのじゃ、言いなさい」
「お、おゆるしを・・」
「いひひ、『おゆるしを・・』か、その声がまた・・そそるのぉ・・たまらんなぁ」
好き勝手にふるまう右京に周囲の客も困惑気味だ。
「じいさん。その子は対象外だよ!」
「じいさんには勿体ねえよ!」
まずエージェントX社の細井が主催者としてマイクの前に立ち、仰々しく満員御礼の感謝の挨拶をした。ミスターXは舞台に上がらず一番後ろの主催者席で会場全体を俯瞰するように目を光らせている。サングラスを外した両眼は猛禽類の如く鈍い光を放ち左目の上下には生々しい傷痕が残っていた。闇世界での武勇の痕跡だ。細井に続いてカリスマ調教師“K”こと梶篠圭吾がステージに上がり今夜のオークションのルールや進行方法を丁寧に説明した。常連客達には毎回の分かりきった説明なので殆ど耳を傾けていないが、まだ飲んでいる酒量が多くないこともあり、ヤジも飛ばさず、品よく聞いているのは“K”へのリスペクトの証かもしれない。
「今夜は4体の奴隷オークションと余興のお披露目ショー(名前は伏せているが菜穂子のショーのことだ)を準備してございます。買占めを防ぐために今回も基本的におひとり様のお買い上げ上限は奴隷一人までです。美味しい酒や料理をめし上がりながらごゆっくりとお楽しみください」
「それと、恒例のサプライズ企画の投票もよろしくお願いいたします。各テーブルにお客様おひとりにつき1枚用紙が置いてございますので・・・」
圭吾が投票の要領を説明していると会場のVIP席の一角がにわかに騒々しくなっていた。
「なんや、おかしいやないか!」
「ぁ、あのう・・それは・・申し訳ございません・・」
「なんでじゃ、なんで君には番号札がついとらん。儂しゃ君に決めたんだ。いひひひ」
騒ぎの中心は鷹杉右京だった。テーブルに酒を運んできた菜穂子の手を握ったまま離さない。
「ええおなごや!このカバンの中には金が山ほど入っておるでなぁ。競り勝って儂が君を持って帰る。ええな!名は何というのじゃ、言いなさい」
「お、おゆるしを・・」
「いひひ、『おゆるしを・・』か、その声がまた・・そそるのぉ・・たまらんなぁ」
好き勝手にふるまう右京に周囲の客も困惑気味だ。
「じいさん。その子は対象外だよ!」
「じいさんには勿体ねえよ!」

