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親愛なるご主人さま
第14章 値引き品の末路

「田沼様はご苦労なさったようですが、ミスターXは全てお見通しだったんじゃないですか?」

「左様ですな。儂もそんな気がします。最初から仕組まれていたようで、なんか怖いぐらいですわ。では失礼」

 細井と吉岡に見送られ、由美子を乗せた田沼金治のランドクルーザーは屋敷の門を出て麓への道を下りて行った。



「ひとつ、片付いたな」



 細井は呟き、遠ざかっていく田沼の車のテールライトを見ながら、ふと腕時計を見た。


(もうすぐ8時か、S君遅いなぁ・・・)


 山道を車が登ってくる気配はなく、庭にあるクリスマスツリーに粉雪が積もり始めていた。


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