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親愛なるご主人さま
第16章 沙耶香の調べ

「言うこと聞かない娘は裸にして逆さ吊にしてしまえ!玲子女王様の鞭は痛いぞぉ」
会場がどっと沸く、サディストにとって怯えたマゾの姿こそ最高の酒の肴である。
玲子も客のノリに応え、一本鞭を振るいヒュンと風を切り、ビシッーンと床が裂けるような派手な音を聞かせた。するとグズグズ駄々をこねていたメイド服の奴隷予備軍の娘たちは鞭打たれたように一様に「ひっー!」と声を出し、ビクビクしてその場に直立した。もうすでに涙を浮かべ震えている娘もいた。
後ろ手錠に繋がれたままメイド娘達はステージに横一列に番号順に並べられた。
今夜のパーティーが始まる前からメイド達の服の胸には番号札が付られていて、接客で各テーブルを回るたびにじっくり観察され、客達それぞれが今夜のオークション品として追加したいメイド娘を1名選び、投票用紙に番号を記入して、スタッフが回収し、既に集計していた。
「左から順に1番ルミ、2番めぐみ、3番彩乃、4番愛子・・」
玲子が生徒の点呼を取るかのようにステージに並んだメイド達を客に紹介しはじめた。
「あら?ひとり足りないわね、5番は・・・」
メイド服を着せてウエイトレス役をさせたのは菜穂子を含め6人。菜穂子は別室に玲子自身が隠し、番号札も付けなかったから、5番がひとり足りない。脱走していたら主催のX社の大失態だが、高い塀に囲まれ、監視の目もあるこの洋館からの脱走などできるはずがなかった。
「おい!そんなところで何してる?」
会場の片隅のグランドピアノの陰にじっと身を潜めているひとりのメイド娘を見つけたのは“ミスターX“だった。
“ミスターX“の声にその女は声も出ず、すくみ上がった。

