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親愛なるご主人さま
第16章 沙耶香の調べ
 拘束されていない自由な手足が菜穂子自身を慰めるというより虐めるように動いていた。左手で乳房を揉みあげ、時々強く乳首をつねって甘い吐息を漏らし、右手の人差し指の先を窄めた口に含みチューチューーと舐めてしまう。

 (もっと太いモノをお口でおしゃぶりしたいのに・・・)目を閉じると、ムキムキに起立した男根が浮かんだ。そしてメイド服をたくし上げ腰を振った。双臀がブルブル震え、貞操帯の下、アナルに挿入されているディルドを調教された肛門括約筋で締め付け、絞り上げるようにくねらせた。めくるめく悦楽が腰から上に昇ってくる。
 (『オマンコでも、アナルでも、お口でもご主人様を満足させなきゃマゾ奴隷は務まらないのよ。菜穂子!』)いつも玲子奥様に言われたことを、今は独り言で菜穂子が菜穂子自身に命じた。玲子のお許し得ることなく自慰をすれば酷く叱られることも今は忘れていた。

「ご主人様!早く・・・」未だに到着せず現れない“S”の名を呼び、目を閉じて、胸に込み上げて来る思いと悦楽を煽る様にして脳裏に姿を求めた。しかし、またしても煙の中にご主人様“S”の御姿は消え失せ、“ミスターX“の蔑むような微笑の顔と右京のヘビのような舌を出して迫ってくる光景が浮かんでくるのであった。

「ぁあ・・ゆるしてください・・・」

 独り許しを乞う言葉を発しながら、それが“X“の呪縛や右京の責めから逃れたくて言っているのか、脳裏から離れてしまうご主人様”S“に対してお許しを乞うているのか、菜穂子自身でも判らぬまま孤独な鉄格子の部屋の中で、モニター越しに見る淫靡で倒錯的なステージのショーに煽られてマゾ奴隷菜穂子の切ない自慰は終わりなく続いていった。
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