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親愛なるご主人さま
第16章 沙耶香の調べ

「よーし、3,000!」
「オォ~」
跳ね上がるセリ値に会場がどよめいた。
湧き上がるほどの会場の熱気の中、お立ち台上の沙耶香はブルブルと全身を震わせている。実は、沙耶香の全身が震えている訳は売られるという恐怖感や不安感による事だけではなかった。
「ぅ・・あ、あのぉ・・・細井様・・・お願いがあります・・」
お立ち台の一番近くにいる細井に涙目で囁くような小声で訴えた。
「ん?どした?今更なんだ」
「ぁ、あの・・・お、おトイレに行かせて・・・」
ピシィ!
傍で聞き耳を立てていた玲子は細井が応える前に鞭を据えた。
「オマエのオークションの最中よ!お客様に失礼でしょ!」
「ぁあ、女王様お許しを・・でも・・おしっこが・・漏れちゃうの・・」
この屋敷に着いてからずっとパーティーの準備とピアノの演奏を続けさせられていて、飯田真由美や水野純子のオークションの時は、その淫靡で壮絶な光景を目の当たりにして金縛りにあったように動けず、トイレに立つ時を逸したままだった。やっと一息ついてトイレに行ける休憩時間と思ったとき、いきなりサプライズ企画で舞台に上げられてしまったのだった。
「じぁ、お客様に自分で訊いてみたら?ウフフっ」
玲子が意地悪くマイクを沙耶香に近づけ急かした。
躊躇する余裕すらない沙耶香が泣き声で客席に訴え、トイレに行く許しを乞うと、「そこで、オマルにしろ」という声や、舞台のすぐ近くの客には、さっきは純子の浣腸排泄で、今度またここで排泄かよ、という苦笑いや、呆れたという嘲笑が聞こえた。
「オムツをさせて、オークション続行させましょう。それでよろしいかしら、会場の皆様?」
玲子が客席に問うと、「玲子様に異議な~し。服従しますよー!」と楽しむ声と下卑た笑い声が掛かり、会場中がどっと沸いてオークションも益々ヒートアップしていった。

