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親愛なるご主人さま
第16章 沙耶香の調べ

 玲子をはじめスタッフ達は黒磯健児の思惑を察した。VIP席はソファーが置かれたボックス型のブースで、隣の席とはパーティションで仕切られている。買い上げた沙耶香を早速にVIP席に連れてこさせてソファーに座らせ、あるいは床に這わせて口奉仕させたり、媚薬で淫靡に陶酔した沙耶香を弄びながら、この後のオークションを高みの見物として楽しみたいのだろう。

「承知いたしました。では直ぐに準備をはじめます」

玲子に指示される前にスタッフの男たちが素早く動いた。蒸しタオルで沙耶香の汚れた下半身を拭き清め、『売約済み』刻印のための道具がステージに運び込まれた。吉岡が由美子を田沼に引渡した時に使った道具と同じものである。

シューシューという灼熱音と共に真っ赤に燃けた真鍮製の“焼きごて”が玲子の手に握られた。

玲子は“これ見よがしに”焼きごてを高く掲げ、客席と沙耶香に見せつける。客席から盛大な拍手が上がる。

放尿した羞恥心の高まりで、ボーっと放心していた沙耶香だったが、燃え盛る“焼きごて”を見た途端、それが何を意味して施すモノか瞬時に理解すると、顔が恐怖で引きつり、叫んだ。

「いやっーーーー!、お願いっ、ゆるしてーーー!」

客のほとんどが焼きごてがフェイク道具で、引き渡し儀式の演出とはわかっているが、知らずに売られた奴隷が恐怖で怯える様子を見て大いに楽しんでいるのだった。

刻印の焼きごてが灼熱のホンモノと思っているのは沙耶香を含む今日連れて来られたメイド役の侍女達だ。投票で2位以下となった4人のメイドはステージから降ろされ、後ろ手縛りのまま床に正座させられていた。お立ち台の沙耶香の様子に固唾を飲んで固まったように見上げている娘もいれば、自分が選ばれなくてホッとして安堵の表情の娘もいた、また沙耶香の発する恐怖の叫びを耳にし、正視できず下を向いて怯えて震えている娘もいた。
仁が下を向いたまま震えている娘のひとり、ルミに近づき顎の下に手を掛け、髪を掴んでルミの顔をグイっとひねりあげ、ステージの方に向けた。

「目を開いてよく見るんだ!次回はオマエがあのお立ち台に立っているかもしれんぞ」

「ひいっ、おゆるしを!」

仁はルミを四つ這いにすると背後からメイド服の裾を捲り上げ、ショーツを引き下げ、手を伸ばして花弁をまさぐった。

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