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親愛なるご主人さま
第17章 転送電話

この屋敷には電話の本機が1階ロビーの受付カウンターに置いてあり、子機が屋敷内の各部屋に置かれている。今夜は各部屋に加え、ステージ裏の控室、VIP席の電話ブース、バーカウンター内にも設置されていた。
鳴った電話は受付カウンターからの転送だった。圭吾が飛びつくようにして受話器を上げた。
「到着したのか!?」
「え? あっ、いいぇ、えっとあの・・ミスターX様にお電話です。そちらにいませんか?」
受付ロビーのスタッフはいきなりの圭吾の反応に少し慌てた。
「ん?いや、こっちにはいない。VIP席かバーカウンターの方だろう」
「すみません。失礼しました。転送し直します」
「うん・・・あっ、誰から電話だ?」
「『エージェントX社の者』で至急繋いでほしいと・・」
「ああ、そうか・・」
電話が鳴っただけで大いに期待してしまったことを圭吾は恥じて、苦笑しながら受話器を置いた。
「S君からじゃないよ・・・」
その場にいるメンバーを見回して沈んだ声で伝えた。

