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親愛なるご主人さま
第18章 美少年の買主
 X社にとっては買い手の嗜好はどうでもよく、オークション奴隷が高く売れれば良いわけで、利益を得て儲けるのが目的だが、エージェント契約の担当調教師にとっては手塩にかけて調教した奴隷が買われた先で廃人にされ消費されるのは後味が良いものではなかった。それは、調教する奴隷に対してドライな玲子でさえ佑太朗を「手塩に掛けた」ほどの調教でもなく、早めに手放したいと思っていたモノのひとつであったが、それでも村瀬親子に買われる佑太朗が気の毒にさえ思えた。

 玲子は再び客席を見渡した。
 すると客席の左側前方に陣取る先輩ミストレスの奈々と目が合った。奈々たち元女王様仲間グループがテーブル席の一角を陣取り、何かひそひそ話をしているのはステージ上の佑太朗の品定めをしているか、競り落としの作戦会議だろう。

奈々が玲子にウインクした。おそらくオークションコールする気である。言葉を発しなくても長年の間柄で玲子には分かった。

「さてそれではオークションを開始しましょう。佑太朗!お客様にご挨拶なさい!」

「ぁああ・・そんな・・・はずかしくて・・・無理・・・です・・・」

ピシー!

「グズグズするんじゃない。セリフを忘れのか?さぁ!」

 玲子は羞恥に耳たぶまで赤く染めて堪える佑太朗の尻に平手を打つと、左中指をアナルに挿入して前立腺辺りを指先でぐりぐり刺激しながら右手の人差し指と親指で乳首をギュッと捻り上げた。

「ぁひっー! お客様ぁ・・・私を・・・買って・・お好きなように・・・弄ってくださいませぇ」

 佑太朗の女々しく震えて啼く声がサディストの客達の嗜虐心を大いに煽っていることが明らかだ。玲子は客の反応に手ごたえを感じた。そしてオークションにコールの手を上げる客が多くなって競り上がり、長引くことを玲子は期待していた。“S”の会場到着が間に合うように時間が稼げるからだ。そうなれば万事都合は良いが、右京や村瀬曹仁が果たしてどう出るか、それによって費やす時間も変わってくるだろうと読んでいた。
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