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親愛なるご主人さま
第19章 慎一郎

「お金なくて傘も買えないのぉ・・・」
お人好しの彼は1万円札を彼女に渡した。
「ありがと、おじさん。この万札返せるアテないから、カラダで払わせてぇ」
(え?ヤバいなこの子・・)
仕事のストレスから自堕落になりつつあった彼は、その夜飲んだ酒の勢いもあり、ヤバいと分かりつつも雨にけぶる色白の美少女に惹かれ、肩を抱いてホテルに入った。
その数週間後、会社の業績がウソのように回復していった。
「菜穂子はアゲまんだよ」
会うたびに彼はそう言って互いの唇を吸い合い、3日と開けずセックスを楽しんだ。
華奢で陶器のように滑らかな白い肌と天真爛漫な性格でありながら、どこか寂しげな暗い翳を併せ持つ少女に彼はのめり込んだ。
会社が倒産に追い込まれそうになった頃、家を出て行った妻と別れた直後でもあり、誰にも気兼ねなく彼は菜穂子を愛した。
5回目ぐらいの逢瀬で温泉宿に行ったとき、誰もいない露天風呂でふざけ合い、慎一郎がタオルの目隠しだけの素っ裸になり、菜穂子を捕まえる鬼ごっこをやった。
「鬼さんコチラぁ~!」
「こら捕まえた~」
嬌声を上げ喜んで逃げる菜穂子を捕まえ、彼が目隠しにしていたタオルを外し逆に菜穂子の目を覆い、勢い乱暴に浴衣を剥ぎ取り、帯で手首を縛って床に転がして犯す真似をしたとき・・・菜穂子は異様に燃えた。
明らかに彼が優しく抱くときと喘ぎ声が変わり、激しく反応して内腿の方まで淫らに濡らした。挿入すると痙攣するように震え、彼を包み込んで失神してしまった。
それが口火となる“きっかけ”だった。
菜穂子のM性が目覚め、彼は戸惑いながらも辱めたり苛めたり犯すように抱いてやると喜ぶ菜穂子を益々溺愛した。浴衣の帯が麻縄に変わるまで時間を要しなかった。彼はSMというものにそれまで興味すらなかったが、数週間経たないうちに2人が会う時は、いつも大きなキャリーバックが彼の手に引かれているようになった。バックの中身の菜穂子を責める様々なSMグッズは次々に増えて入りきらないほどになった。バックの蓋を開ける度に菜穂子は頬をピンク色に染め、瞳を輝かせた。
だが現在のようにプレイの指南本など無い時代で、SMはまだまだアンダーグランドな世界のものだった。

