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親愛なるご主人さま
第19章 慎一郎
  それでもフランスのSM古典映画「O嬢の物語」のビデオを2人で観てドキドキと燃え上がったり、SM小説のストーリーを真似て、裸の菜穂子に亀甲縛りしてコートだけを羽織らせ、夜の東京を2人で彷徨ったりもした・・・

責め具の数と種類は増えたが、何か他愛ない「ままごと遊び」をしているようで、慎一郎のSプレイは拙いものであった。

「慎一郎さん、もっといじめて・・・」


訴える菜穂子の瞳は真剣で燃えるような情感に溢れていた。しかし慎一郎は菜穂子を支配したい思いは強いが、例えば、麻縄でギリギリと縛り上げ、獰猛な蛇のような一本鞭を華奢で白く透き通るような菜穂子の身体に叩きつけて悲鳴を上げさせるようなプレイは躊躇してしまうのであった。

それに加え、業績の回復と共に慎一郎の社長業も更に多忙となり、週3日会っていたのが、だんだんと減って週末1日になり、時には2週間に1日ほどの逢瀬となりはじめた。

菜穂子の思いに応えたい・・
慎一郎さんの重荷になってないかな・・・

二人の不安定な想いが交錯する中、ある日、六本木通りの地下にあるSMグッズ店から二人で出てきた路上で声を掛けられた。

「あの・・もし、ご興味があれば・・」

名刺を差し出した男がエージェントX社の細井だった。

「『調教カウンセラー』って・・・・もしかして?」

「ええ、お二人のお手伝いになれれば・・・」

5日後、細井の名刺に書かれていた電話番号が鳴った。慎一郎からだった。

「細井さん、よろしくお願いします」

細井が聞いた慎一郎の電話の声は小さく、緊張が感じられたが、秘めた強い意思を感じ取った。

  細井はまず、2人とそれぞれ個別に会い、菜穂子には慎一郎を名前で呼ばず「ご主人様」と呼ぶことと、自分が発する言葉には常にご主人様への奉仕と敬いの心を込めるよう命じ、次いで慎一郎には何事も威厳を持って菜穂子に接し命じることの大切さを説いた。

素直にカウンセリングを受けた2人であったが、慎一郎の社長業の多忙によって2人が会って共に過ごす時間が減っていく現実は止められなかった。
「Sさん!(エージェントX社は依頼者の本名を知っていても基本的にイニシャルで呼ぶ)いっそのこと、菜穂子さんの身をしばらくプロの調教師に預けてみませんか?」

細井が“S”こと慎一郎にそのオファーを出したのは翌年の桜が散り始めた頃だった。
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