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親愛なるご主人さま
第20章 最終オークション

「それではー、今夜最後のオークションを始めます。薫です。24歳。調教実施項目の詳細は、お手元の資料をご覧ください。担当調教師は仁紀之とこの私の2名です」

 カリスマ“K”こと梶篠圭吾が静かな口調で紹介し、仁に首輪を引かれ薫がステージ中央のお立ち台に上がる。

「ほぉ・・・」

 客席側から照らすスポットライトを浴びると、その美しさにため息とともに歓声が上がった。
 
 お立ち台がゆっくりと回転し始める。
 
 うっすらと汗を浮かべミルクを溶かしたような滑らかな肌が高価な陶器のように輝いていた。身体の線のたおやかさは、ひと幕前に競売された佑太朗の比ではない。ボディのくびれや丸みは芸術的な曲線を描き、ほつれ毛が汗に濡れて張り付いた細いうなじは匂い立つような色香を携え、なだらかな首から肩の線が朱色の犬の首輪に巻かれていることで更に儚くも妖しい佇まいを見せていた。
 大きな白桃のような乳房に淡い乳輪の乳首が上に向いて尖り恥ずかし気に震わせる様子や、蜂の胴のようにくびれたウエストから丸く張ってプルンと揺れるヒップのまろやかさは見ているだけでサディスト達の血を滾らせるのに十分であり、メイクは濃すぎず薄化粧に抑えられてナチュラルに美貌引き立てた。その顔は東欧系の民族の血を引くようなノーブルな鼻筋で、ロシアの美少女をそのまま大人に成長させたような美貌で、長いまつげの奥に憂いを帯びた瞳が妖しく揺れてサディストたちの加虐心をくすぐっている。

 仁は薫にハイヒールを敢えて履かせず、裸足のままお立ち台に上げた。
 踵の高い靴は女の足を美しく見せるが、薫のか細い足首から引き締まったふくらはぎとムッチリと脂の乗った太ももに至るまでの長い美脚はハイヒールを履かせずとも存分に客のサディズムを煽ると知っていた。全裸に首輪だけで売られるのが性奴隷に相応しい姿であると信念もあった。


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