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親愛なるご主人さま
第21章 宴のあと
 
 慌てて運転手がロビーに行くと、細井一馬は圭吾と話をしていた。

「ボスがイラってますよ。細井さん出発しましょう」

「あぁ、今行く」

「梶篠さん、お願いがあります。このあと入れ違いに“S”氏が到着したら、一晩泊まってもらって、明朝、僕に連絡ください。東京で薫を監禁したら、ここにとんぼ返りします。最終的な契約の完了と請求と、菜穂子の引き渡しに私が立ち会う必要あるんで」

 細井はアタフタとしながらも圭吾に説明して頼んだ。

「うん、わかった。忙しいだろうけどヨロシク。だけど、一晩経っても彼が来ないことって・・・あり得ないかな?」

「うーん・・東京に留まっているとか、車がエンコしたとかですかね?・・・明日、“S”氏の自宅や会社に電話入れてみます。それで何かわかるでしょう」

「考えてみたら、別に今日や明日じゃなくても、無事に菜穂子が納品できれば良いわけだしな」

「落ち着いたら仕切り直しですかねー。じゃ私、今夜はこれで。玲子奥様によろしくとお伝えください」

「ああ、お疲れさんでした」

 X社の運転手に促され細井は駆け足でワゴン車の助手席に乗り込んだ。

「すみませんボス。遅くなって」

 後部座席から怒鳴り声を浴びると思ったが、ちょうどその時、薫の喉奥に発射する時だった。怒鳴り声の代わりに野獣のような射精時の咆哮を聞かされた。

 ワゴン車は何事もなかったかのように発進し、まだ雪が残る道を下り、一路東京へと向かった。

 主催のX社の幹部2人が早々に去ってしまい、お開き後もまだロビーや会場に十数人残っている客達に挨拶して回るのは圭吾と玲子、それと仁や吉岡らのスタッフの役目になってしまった。宴は終わり、そろそろお帰り願いたいところだ。

 相当にアルコールが回り泥酔している客もいた。中でも背徳的な奴隷オークションの官能に熱せられ、テンションが上がったままのサディスト紳士たちはサプライズ企画で2位以下になったメイド服の侍女4人(ルミ、愛子、めぐみ、彩乃)を提供しろと迫ってきて扱いに手を焼いた。


 
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