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親愛なるご主人さま
第24章 野獣 対 女豹
 
 梶篠玲子は屋敷の玄関ロビーにぽつんと取り残されたように佇んでいた。細井が再び東京に向かい。菜穂子は圭吾が運転する車で送られ出て行った。一人になると心にぽっかりと穴が開いたようだった。虚しさが募った。

(菜穂子・・・なんて気の毒な結末・・・それでいて別れ際に見せた彼女の変わり身の早さは、悲しみを乗り越えようとする忍耐の表れなのか、あるいは主人、慎一郎の死を受け入れたくない気持ちか?持って行き場がない心の表れなのか?)

 これまで百人近くマゾ調教してきた玲子女王であったが、こんな感情になるのは初めてだった。菜穂子はX社から依頼された調教奴隷の内のひとりでしかなかったはずが、今、去ったあと、菜穂子の気持ちを慮る自分になっていることを玲子自身が驚いていた。

 また涙が溢れそうになる・・・・


 「あのう・・・奥様・・・」

 辛そうに思い耽る玲子に老いた執事の房之介が近寄り、遠慮気味に声をかけた。

 「ん、なに?」

 「細井様がまた今日もお忘れ物のようでして・・・」
 
 カウンターテーブルにVHSのビデオテープが置かれていた。

 「どのようにいたしましょうか?」

 ビデオの中身は昨夜のオークションの舞台の模様を録画したやつ違いない。テープのケースに「①真由美」「②純子」「③サプライズ企画・沙也加」「④祐太郎」「⑤薫」とオークションされた奴隷ごとにビデオテープがそれぞれ1本づつ5本あった。

 「細井さんが編集ダビングしてマニアに売るやつね。圭吾さんが戻ってきたら送り先の住所を聞いて送ればいいわ」

 「はい。承知いたしました」

 「それと・・こっちのは?」

 玲子はテーブル上の①から⑤までの5本のVHSテープとは別のVHSテープ数本とさらにカセットテープが2本置いてあるのを指さして訊いた。

 「あ・・これは、お屋敷のセキュリティ用でございます。ビデオはセキュリティカメラの録画で、しばらく私の方で保管いたします。昨夜は怪しい侵入者もなかったようですので、見るまでもございません。カセットの方は電話の録音でございます」

 「そう。では、良きにはからえ」

 「はっ、かしこまりました!奥様」

 房之介は恭しくビデオテープを受け取り倉庫に仕舞おうとした。

 「待って!房之介。“電話の録音”って、今言った?」

 


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