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親愛なるご主人さま
第28章 手紙

「ぁ、いいや・・・」
「ほれ、土産。雷おこし」
「・・どうも」
そこへ署長の小林もデカ部屋に入って来た。
「おう、山さん、ご苦労、どうだった?」
「長居は無用でしたよ。向こうの連中が万事受け持ってくれました。データベースに入っている全国版の行方不明者の数ね、途方もないんですよ。驚きました。年間で8万人を越えていて、その35パーセントが女性。その中で10代と20歳代が占める割合が2割強ってところで、要はその年代の女が1年で5千から6千人行方不明って国なんですよ日本って国は・・・」
「そんなにも!?」
矢島が驚いて聞いた。
「うん。東京や大阪の都市部が多いけどな」
「それで、山さん、あっち(警視庁)に任せておいて捜査進むかい?」
小林署長が困惑顔で訊いた。
「仏さんの写真や情報を・・・コンピュータにインプット?とかって言うらしいんやけど、入れて機械に照合してもらっています。しかし・・・向こうのデータは沢山あるけど、こっちから伝えられる情報は少ないから、時間がかかるかもしれません。警視庁でじーっと待っていてもしゃーないので早々に一旦帰って来たんですよ。何かデータにヒットすれば本庁から連絡をくれます。仏さんの死顔を一般公開するわけにはいけませんが、似顔絵イラストを作って呼びかけるそうです。捜査一課にも寄ってきました。よろしく言っておきましたよ」」
「そうかぁ、わかった。やっしー、お前の方はどうだった?」
「はぁ、えっ~と・・・レイラ先生は、お元気でしたよ」
「そうじゃなくてよー!」
「ハハハハ、今度もあの女医さんにちょっと遊ばれて帰ってきたのかな。やっしー君は、フフフ」
「山さん!なに言ってんすか。僕は・・・」
「まぁいいから、何かあの女医から聞けたか?」
署長が急かすように訊いた。

