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親愛なるご主人さま
第28章 手紙

「結論だけ言う。殺しのセンは消えて、自殺で片づけられたよ」
小林はデカ部屋に入ってきてコートも脱がず一言で二人に告げた
「そうですか・・・」
山田は解せぬ顔つきだ。
「北条レイラ女史の報告書のコピー持ってきたよ。読むか?やっしー?」
「えっ? いや、いいです。読んだところで・・・」
「それより、署長、儂らが待っているから、急いで走って帰ってきたんすか?なんか・・すいませんね」
禿げ頭から汗をだらだら垂らしている小林を見て山田が気を使って訊いた。
「外に出てみろよ,ヤマさん、今日は4月のような陽気じゃ。春一番吹いて、ポカポカよ、コートなんか着ていくんじゃなかったわ、ァハハハ、いあや暑い。参った」
小林はハンカチで頭や首を吹きながら言った。
「♪春はもうすぐソコまで来てるぅ~、雪がぁ溶けっ、小川に流れ、お花咲くぅ~」
矢島がアイドル歌手の歌を口ずさんだ。
「あ! おい・・・やっしー!!!!」
「すみません、失礼しました・・・」
「今・・なんて言った?」
「えっ? 歌ですか?春はもうすぐ・・・」
「そのあとだよ!」
「雪が溶け・・・・小川に・・・」
「!!!! 」
山田と矢島は互いの顔を見合って飛び上がりそうになった。部屋を飛び出して行くとき山田は慌てて転びそうになったほどだ。

