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強姦魔
第13章 地回りとの遭遇
「おい、今夜はそろそろ引き上げるか」
午前0時を回り、人通りが少なくなった盛り場を、いかつい顔の男たち、地元ヤクザの中上(なかがみ)、牧(まき)、吉田(よしだ)の3人が歩いていた。
「そうだな、給料日前だからな」
「俺たちの給料はどうなっているんだ?」
「バカ野郎、そんなことを言ったら兄貴たちにぶっ飛ばされるぞ」
「ははは、そうだな」
「それより、腹が減ってきたな。」
「ああ、ラーメンでも食べさせてもらうか」
「どこに寄るか?」
「どこでもいいさ、食わせろって言えばいいんだ」
通りを我が物顔に歩く彼らに、暖簾をしまいに出てきた各飲食店の者たちは黙って頭を下げていた。
そんな彼らの前に、パンティ1枚の女が転がるようにして路地から飛び出してきた。
「何だ、お前!」
髪はぐしゃぐしゃ、手にはドレスが絡まっている。女相手の悪ふざけ、強姦も集団でのまわしもしたことがある彼らだから、ただ事ではないとピンときた。しかも、よく見れば、スナック「雪」のママだ。
「ママ、どうしたんだ?」と中上が抱き起すと、雪江は「あいつ!」と路地の奥を指差した。
すると、「ババア、そこにいたか」と背の高い男が後頭部を押さえながら近づいてきた。しかも頬から血を流している。
「おいおい、穏やかじゃねえな」と一番小柄な吉田が男の前に立ちはだかった。
「何だ、地回りか」
「地回りかとは、とんだご挨拶だな」
ヤクザは舐められたら終わりだ。
吉田は体こそ170cmに満たないが、気の強さは誰にも負けない。相手は180cmを超える大男だが全くひるまず、気迫ではむしろ勝っている。