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強姦魔
第2章 陶芸工房「篠田」
それから5年後、義彦は肝硬変でこの世を去ったが、後を継いだ潤子は製作の傍ら、工房を開放し、陶芸教室を開いた。以来、3年、生徒数も多くなり、経済的な余裕も出来てきた。
リリーン、リリーン、リリ-ン……
「あら、時間になっちゃった。明美ちゃん、続きは来週ね」
「はあーい」
「先生、さようなら」
「はい、ご苦労様」
プロになりたい訳ではない。趣味として陶芸を楽しむ生徒たちは、時間がくれば、途中でも帰っていく。
「いいのよ、それで」と潤子も割り切っていた。
「ねえ、潤子さん」
一旦、玄関を出た矢沢由美子がちょっと不安そうな顔で戻ってきた。
「由美子さん、どうしたの?」
「さっきから道路に黒い車が停まっているのよ」
「道に迷ったんじゃないの?」
ここは市の中心街から車で10分ほど山の方に入ったところにあるので、人家が少なく、単調な景色なため、道に迷う車は時々あった。
「でも、一昨日も停まっていたのよ」
「そうかしら」
潤子は玄関から出て、由美子の指差す方を見ると、確かに黒い車が停まっていたが、運転席のシートが倒され、運転手の姿は見えなかった。
「昼寝しているんじゃないかしら?」
「でも、ストーカー被害もあるらしいから、戸締りはしっかりした方がいいわよ」
「そうね」
「じゃあね」
「はい」