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溺れるくらいに愛して
第1章 溺れるくらいに愛して
「お子さん、何歳ですか?」

「もう高校生。生意気になったもんだよ」

 そのもの言いに彼の愛情は少しも感じなくて。冗談めいた感じもなく、本気で。

「またまたあ! 奥さんのこと愛してるんでしょ?」

「愛……何それ。くだらない。女の子ってすぐそういうのに溺れるよね。ほんと、めんどくさい。女の子の本気にならないんでって一番信用できない言葉だよね……。ってごめん、変なこと言った。こないだ彼女と別れたばっかだからかな」

 彼女……。硬派で真面目そうに見えるのに、大胆でスリラー。不倫はいけません。いけませんなんて言うから、みんなが余計に深みにハマるのだ。

「彼女なんですね、一応。あたしだったら風俗で働いてるんで、そんなめんどくさいこと言いませんよ。満たしたい時にサクッと満たせます。って、ごめんなさい!!」

 なんてことを口走っているのだろう。この人があまりにも普通に大胆な告白をしてくるからだ。まだよく知りもしない。だからこそ何でも話せるというのもあるのだろうか?

「いいよ。連絡先、交換しよう」

「あ、はい」

 彼の言葉でラインの交換をした。表示されているアイコンは、さっき目にした黒縁メガネ姿の横顔だった。名前は、岡本優祐(オカモト ユウスケ)。優祐さん。

「みーこね。これからよろしく!」

「こちらこそよろしくお願いします」

 ナチュラルに差し出してくる手を握り返した。そして、優祐さんには、昼職、夜職の名刺を渡した。

 優祐さんの名刺も貰うと結構、大手の会社で働いていることが分かった。予想通りだったの驚きはしなかった。努力家。努力を出来る男は、高感度抜群だ。真面目と不真面目のバランスがあたしには丁度いい。それに、いい男を連れているというだけで、友達へのステータスも高い。あたし、みーこに相応しい相手だと思う。店の客達とは桁が違う色んな意味でいい男。
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