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泥だらけのお姫様
第5章 踏み入れた世界
地味なタートルネックとブラウンのタイトスカートだったのに面接は呆気なく受かって……。おしゃれなお店なのに人手不足ってどんな劣悪な環境なのだろうと不安になったものの、初出勤の日、スタッフさんもキャストさんも優しくて、このお店でやっていけそうと安心した。
「私、キャバクラで仕事はじめたから」
「お前なんか、どうせ指名とれなくてすぐ泣いて辞めるんだろ。俺の職場の人にバレないようにだけしてくれたら好きにすれば? 俺も好きにするから」
その一言であっけなく終わった。優祐は好き。好きなんだと思う。けれど会いたくない。あまり顔を見たくない。けれど、離れたくはない。この気持ちは、なんなんだろう。誰か分かる人がいるなら答えて欲しい。
有名な質問サイトには似たようなことがたくさん書いてあるけれど、どれもピンと来ない。結局、ズルズルとした気持ちのまま、きらびやかな世界に足を踏み入れてしまった。
普段、着ないドレス。普段しないラメメイク。涙袋メイク。作る二重。そのどれもが今は、ただただ眩しい。自分じゃないみたい。女の子。これほどまでに女の子っていうのを始めて体験した。