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泥だらけのお姫様
第6章 溺れるのは禁断の果実で優しい不実の麻薬
***
それから少しして、キャストの一部が化けの皮を被っていたことを知る。まあ、女の世界なんて、そんなもんだ。生き残るには、割りきるしかない。
「あいさんヘルプです」
私は卓につく。源氏名は、ありきたりだが、美愛から一文字とって、愛……漢字だとそのまますぎるので平仮名であいにした。
「はい!」
席につくと、いかにもなサラリーマン風のグループがいた。
「おっ! 新人ちゃーん?」
小太りだが、多分、この中で一番偉いのであろう男が私に腕をかけてこようとして、
「邪魔しないでよね」
その反対側から耳元でこのお店のナンバーワンが客に聞こえないよう耳打ちをした。
「あ、す、スミマセン!」
「そうなんですぅ! この子、新人なのでぇ、優しくしてあげてくださぁいー!」
女って怖い。彼女は私の片足を踏んできて、
「あ、あいさん、お、俺のほうに」
「おっ! 珍しいねぇ~将(しょう)ちゃんが女の子に声かけるなんてぇ。ぐえっぷ!」
「もぉ~飲み過ぎですよっ」
「あっちいって」
ナンバーワンは、軽く偉いさんにボディタッチであしらいながら、私に耳打ち。私は言われる通り将さんのほうにいった。