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泥だらけのお姫様
第8章 泥だらけのお姫様
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夜、私は黒一色のおとなしめのワンピースで将さんに会いに行く。将さんは、既に到着していた。
「美愛さん……ごめん、別れよう」
普段、あまりしないスマホでの連絡。予想はついていた。予想はついていたけれど、いざ突き付けられる現実に涙が零れ落ちた。
「本当に……ごめんね、2人目が……できたんだ」
声が遠くに聞こえる。あぁ、そうか。
「いつ……から? セックス……レスじゃなかったの?」
「ごめん……、美愛ちゃんのことは遊びとかじゃなくて、本気で好きだったし、今も好き」
「だったらっ!」
将さんは私の頭を撫でる。
「ごめんね、でも……やっぱり、俺、奥さんのこと大切なんだ。この関係がバレて流産でもしたら俺……後悔してもしきれないと思うんだ……だから──んっ……」
聞きたくない。聞きたくなくて、私は将さんの唇を塞いだ。