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泥だらけのお姫様
第8章 泥だらけのお姫様
「う"っわぁああん」

「ちょっ、なんでオーナーが泣くんですか?!」

「だっでぇ、純愛じゃなぁい。関係性なんて関係ないの確かにそこに愛があったことが分かって……ずびびびびー」

「……オーナー……」

 オーナーの涙に私は逆に涙がとまって笑ってしまった。今までこんな穴場のBarがあったなんて知らなかった。包み込んでくれるような温かいお店。

「美愛さん、でしたっけ? この小説……知ってます?」

 ミキさんはそう言って私にスマホの画面を見せてくれた。こないだ読んだ携帯小説。旦那エンドで終わる作品。

「最後まで読みました」

「これ、執筆した人、知り合いなんです。このあとどうなったか気になりません?」

「そうなの? はい、それはずっと気になってて」

「お互いのことを尊重しあって今は支えあっています。間違ってもいい。大切なのは、その間違いの後にどうするか……ですから。あ、美愛さんとその男性のこと否定してるわけじゃ……ないですから」

「分かってますよ。ありがとうございます。少し、スッキリしました」

 優祐とやり直そう。私にはもうそれしか道は残っていないのだから。

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