この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
泥だらけのお姫様
第10章 【番外編】幼女な姫と優しい王子

***
一ヶ月後、俺は実家へと引っ越した。
「ただいま」
「お帰りなさい。優希の大好きなご飯、たくさん作ったわよ」
「ありがとう」
荷物を片付けて、ご飯の時。
「母さん、なんか……俺にして欲しいこととかない?」
「えっと……特に……ないわよ」
「分かった。なんかあったら言ってね?」
俺は母さんの頭を撫でた。年を重ねたはずなのに、あの頃より母さんは美人になった気がする。まとう色気が違う。俺がいない時に何かあったのだろうか? 父さんが邪険に扱っていた人、それは俺にとって今まで届かなかった人。
「ありがとう」
母さんがぎこちない笑顔を浮かべる。本物の笑顔に溶かしてあげたい。俺はそう思った。

