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降りしきる黄金の雫は
第7章 7 雨
「咲かせたところで何かになるわけではないがな」

自虐的ではないが、そういう実りのない言葉を聞くと僕は切なくなる。

「みんなあなたの香りを待ってます。僕はもう来年の秋の事、考えてます」

彼の顔に表情が現れる。

「ふふ。そんなに感傷的になるな。私はただそこにあるだけなのだ」
「で、でも」
「しかしこの姿を得ると、なんとなくお前たちが持っている『心』がわかるような気がする」

一番最初に出会った時より、桂さんは確かに人間らしい気がする。それが桂さんにとってどういう意味を持つのか、どうなるのかは知る由もないが。

「ああ、そうだ。桂さんのおかげで今日とても調子が良かったです」
「そうか。いつでも与えてやるから遠慮するな」
「あ、いえ。大丈夫です……」

ベッドの隣で何事もなかったかのように立っている彼は美しい芸術品のようだ。
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