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降りしきる黄金の雫は
第11章 11 異変
「ソメイヨシノ、河津桜、山桜、んー、これなんだろ」
桜と一口に言っても種類は野生種だけでも100以上、人が交配した園芸品種でも300種類以上ある。樹木医として木の扱いや病気に関しては随分詳しくなったと思うが、まだまだ木々の種類は勉強不足でタグがついていないとよくわからない。
ぼんやりタグのないひと固まりの恐らく桜をぼんやり眺めると、苗木たちが黄緑色の柔らかい光を放ち始めた。
「なんだろ……」
目がおかしいのかとまばたきをし、他の苗木に目をやるとやはり薄紅色の光が放たれている。
「あの……。中村さん、この桜はピンクじゃないんですか?」
「ん? ああ、これは黄緑色の花を咲かせるよ。御衣黄(ギョイコウ)って名前なんだ。珍しいでしょ」
「え、ええ。ほんとに……。えっと、この梅は紅梅で、こっちは白梅ですか?」
「そうだよ。先生、良く分かったねえ。『梅』としかタグつけてなかったのに」
中村さんが感心して僕を見る。僕は苗木が放つ光のオーラの色がいずれつける花弁の色だと知った。
桜と一口に言っても種類は野生種だけでも100以上、人が交配した園芸品種でも300種類以上ある。樹木医として木の扱いや病気に関しては随分詳しくなったと思うが、まだまだ木々の種類は勉強不足でタグがついていないとよくわからない。
ぼんやりタグのないひと固まりの恐らく桜をぼんやり眺めると、苗木たちが黄緑色の柔らかい光を放ち始めた。
「なんだろ……」
目がおかしいのかとまばたきをし、他の苗木に目をやるとやはり薄紅色の光が放たれている。
「あの……。中村さん、この桜はピンクじゃないんですか?」
「ん? ああ、これは黄緑色の花を咲かせるよ。御衣黄(ギョイコウ)って名前なんだ。珍しいでしょ」
「え、ええ。ほんとに……。えっと、この梅は紅梅で、こっちは白梅ですか?」
「そうだよ。先生、良く分かったねえ。『梅』としかタグつけてなかったのに」
中村さんが感心して僕を見る。僕は苗木が放つ光のオーラの色がいずれつける花弁の色だと知った。