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ご褒美はキミ
第8章 欲しいのはキミ ①
充輝先輩の節くれだった手をいじり、じっと見つめた。


……うん。嫌だったのは、この手じゃない。
あれは、充輝先輩に対しての拒絶じゃなかった。


触っているうちに愛おしくなってきて、指の一本一本に啄むようなキスをした。

この指が私の体をまさぐり、中に入ってきたのだと思うと、ドキドキして体がむずむずしてくる。

「あ、あの……まほ?」

充輝先輩は動揺しているみたいだった。

これまでもたくさんキスされてきたけれど、私からって一回もなかったかも……。


「ふふっ…」

思わず笑ってしまったら、高志先輩が不思議そうに顔を覗き込んできた。


「だって……」

言って、また笑う。

いつも不意を突かれてばかりだけれど、今は私が充輝先輩を慌てさせているのだと思うとなんだか嬉しかった。
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