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ご褒美はキミ
第3章 そして始まる
「ごめん、俺達だけで盛り上がってたな」

充輝先輩は申し訳なさそうに言うと、私に回していた腕をほどいて立ち上がった。

ホッとした


……はずなのに、体が充輝先輩を追いかけている。

ドキリとして、伸ばしかけた手で慌ててグラスを掴んだ。
一口飲んでもまだ体がざわつく。


なんで……?

「そろそろ願い事、いくか」

充輝先輩は紙袋を持ってくると、中から折り畳まれた大きな紙を取り出した。
それを広げて、みんなに見せる。

「これが、俺の一個目」

双六だった。
少し変わったタイプの。

スタートの“目覚まし時計が鳴る”から始まり、大中小と異なる大きさのいくつものマスを進めて、ゴールの“寝る”にたどり着く。

挿絵のようなものは一切なかった。
ただマスが列なっているだけ。
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