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狼に囚われた姫君の閨房録
第4章 清川の裏切り
二月二十三日。浪士組は京に到着した。
陽は陰り、生暖かい夕風が吹いていた。空は紫色を帯びつつある。
試衛館の宿は壬生の八木源之丞邸だ。家人は浪人と暮らすのを嫌がり、出て行ったという。
私と同い年くらいの少年二人が玄関で出迎えた。
「お待ちしていました、皆さん。夕餉の支度が整ってますよ」
色白で礼儀正しそうな少年だった。私と目が合うと、土で固めた三和土に平伏した。
「お初にお目にかかります!相馬主計といいます。すみれ姫のお世話をさせていただきます!!」
横に立っている短髪の少年の手を引っ張った。
「利三郎も頭を下げろっ。頭が高い!」
小麦色の肌の短髪少年は片膝をついた。
「野村利三郎っす。主計とは腐れ縁で、姫とは同い年です。よろしくお願いしま〜っす!」
私は旅の疲れも忘れてクスッとした。
わざわざ、世話係をつけるなんて。歳三達の気遣いに感謝しよう。
私は深々と一礼を返した。
「こちらこそ、近藤すみれです。もう姫じゃないので、どうぞお楽に」
「いや、そういうわけには……」
主計が慌てると、草鞋を脱いだ左之助が言った。
「すみれは親父さんの娘なんだ。特別扱いはしなくていいぜ」
「それでは、お嬢さんで……」
そう言った時、小柄な男が土間に走り込んできた。三十歳くらい。切れ長の目が印象的である。
「申し上げます!」
「なんだ?山崎。何かあったのか?」
水を張った盥で足を濯ぎながら、歳三が問うた。
山崎? この人が一足先に京で探索をしていた山崎烝なの?
「清川八郎に妙な動きがあります。新徳寺という近所の寺に、浪士組の者達を集めています。本堂の窓を締め切り、誰も近づけない様子です」
「どういうことだ? 集まれとは言われてねえぞ」
「水戸の芹沢鴨も呼ばれていません。ついでに言うと、幕府の役人も一人も来てないです」
「清川が何か企んでるんじゃないですか?」
総司が言うと、歳三は腕組みして片眉を寄せた。
「考えられるな。どんな悪巧みをしてやがる」
「俺が様子を見に行きましょうか?」
と、一。その傍らで、平助も言う。
「俺も行くよ。なんか、楽しそうじゃん」 
「相変わらず元気ですね、平助くんは」
山南敬助がため息を漏らす。次いで、なにかを思い付いたのか、メガネの奥が光った。
「いっそ、全員で行ってはどうですか? 呼ばれてはいないとはいえ、我々は浪士組です。話を聞く権利くらいはあるはず」
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