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狼に囚われた姫君の閨房録
第45章 局長命令!すみれを殺せ!!(その一)

【第三者視点】
富士山の噴煙に覆われた江戸の町。
時々、噴石が砂利道に突き刺さる。噴火の音が轟く度に大地が揺れた。
人っ子一人歩いておらず、野良犬もいない。
長屋にも軒を連ねる店屋にも、人の気配はない。大名屋敷の通りも、全ての門が閉ざされていた。
「おーい、誰かいねえか?」
一軒一軒に呼びかける平助。応える声どころか、物音ひとつしない。
「すみれちゃんがあの世に送ったのかな?」
総司が軽口を叩くと、一が細い眉をキリリと上げた。
「すみれはそのような娘ではない」
「そのようなって、あの子、修羅に目覚めたんでしょ?現に、死の街になったじゃない」
「修羅の魂がしたことじゃねえよ」
歳三が言い切った。濁った赤色の空を睨みつける。
「時空間の違う同じ場所で、江戸町民は生きてる。すみれの結界の中だ。完全に修羅に乗っ取られたわけじゃなさそうだぜ」
「俺も感じるぜ、すみれの温かさを。八百八町の江戸っ子を全員時空間移動させるたあ、さすがだな」
左之助が感嘆のため息をつくと、新八が捲し立てる。
「修羅と同化してねえんだな?今なら助けられるってことか!?」
「早く助けてやろうよ。すみれはきっと俺たちを待ってるよ!」
平助が声を張り上げた。歳三がはげしく首を振る。
「だめだ!大老の命を忘れたのか?同化してようとしてまいと、俺たちのすることはすみれを斬ることだ!!」
富士山の噴煙に覆われた江戸の町。
時々、噴石が砂利道に突き刺さる。噴火の音が轟く度に大地が揺れた。
人っ子一人歩いておらず、野良犬もいない。
長屋にも軒を連ねる店屋にも、人の気配はない。大名屋敷の通りも、全ての門が閉ざされていた。
「おーい、誰かいねえか?」
一軒一軒に呼びかける平助。応える声どころか、物音ひとつしない。
「すみれちゃんがあの世に送ったのかな?」
総司が軽口を叩くと、一が細い眉をキリリと上げた。
「すみれはそのような娘ではない」
「そのようなって、あの子、修羅に目覚めたんでしょ?現に、死の街になったじゃない」
「修羅の魂がしたことじゃねえよ」
歳三が言い切った。濁った赤色の空を睨みつける。
「時空間の違う同じ場所で、江戸町民は生きてる。すみれの結界の中だ。完全に修羅に乗っ取られたわけじゃなさそうだぜ」
「俺も感じるぜ、すみれの温かさを。八百八町の江戸っ子を全員時空間移動させるたあ、さすがだな」
左之助が感嘆のため息をつくと、新八が捲し立てる。
「修羅と同化してねえんだな?今なら助けられるってことか!?」
「早く助けてやろうよ。すみれはきっと俺たちを待ってるよ!」
平助が声を張り上げた。歳三がはげしく首を振る。
「だめだ!大老の命を忘れたのか?同化してようとしてまいと、俺たちのすることはすみれを斬ることだ!!」

