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狼に囚われた姫君の閨房録
第45章 局長命令!すみれを殺せ!!(その一)

【第三者視点】
新選組一行は、門扉の閉ざされた江戸城に着いた。
漆黒の空を稲光りが走る。新選組に狙いをつけ、雷が幾筋も落ちた。
「よけろ、みんな!」
歳三が叫ぶまでもない。みんな、瞬間移動を繰り返して、自分たちを狙い撃ちする雷から逃れた。
大地に穴が空き、大木が火柱をあげて裂けた。
「大した歓迎じゃねえか」
ひたすら追いかけてくる落雷に、三樹三郎が楽しそうに肩をすくませた。
「すみれ、いるんなら出てこい。ケリをつけようぜ!」
《決着をつけるとは思い上がった者よ》
一同の頭に凛とした声が響いた。心話ではなく、天から降ってきた声音だった。
《私に勝てると思うてか?》
「これだけの面子が揃ってんだ。負けるわけがねえ」
《言うたな。天守閣にまいれ。雌雄を決してくれようぞ!》
「何言ってる?江戸城の天守は昔に焼け落ちて……」
そこで、新八は言葉を切った。
明暦(関ヶ原の戦いのほぼ五十年後)の大火で消失した江戸城の天守閣。
闇に堂々と聳えていた。屋根瓦は妖しく黒光りし、白磁の壁はシミひとつない美しさであった。
「舞台は整ったってか。んじゃ、行くとすっか」
左之助が言った瞬間、大手門の扉が八の字に開いた。
暗闇の中に澱むのは、灰色の渦が蠢く破滅への入り口。中は唸りをあげ、阿鼻叫喚の悲鳴が混じった。
「ゾクゾクするね」
総司が唇を歪めると、一足先に平助が飛び込んだ。
「切り込み隊長・藤堂平助!お先!!」
それを合図のように他の者も渦に飛び込んだ。みんなの体は切り揉むように、渦に吸い込まれていった。
新選組一行は、門扉の閉ざされた江戸城に着いた。
漆黒の空を稲光りが走る。新選組に狙いをつけ、雷が幾筋も落ちた。
「よけろ、みんな!」
歳三が叫ぶまでもない。みんな、瞬間移動を繰り返して、自分たちを狙い撃ちする雷から逃れた。
大地に穴が空き、大木が火柱をあげて裂けた。
「大した歓迎じゃねえか」
ひたすら追いかけてくる落雷に、三樹三郎が楽しそうに肩をすくませた。
「すみれ、いるんなら出てこい。ケリをつけようぜ!」
《決着をつけるとは思い上がった者よ》
一同の頭に凛とした声が響いた。心話ではなく、天から降ってきた声音だった。
《私に勝てると思うてか?》
「これだけの面子が揃ってんだ。負けるわけがねえ」
《言うたな。天守閣にまいれ。雌雄を決してくれようぞ!》
「何言ってる?江戸城の天守は昔に焼け落ちて……」
そこで、新八は言葉を切った。
明暦(関ヶ原の戦いのほぼ五十年後)の大火で消失した江戸城の天守閣。
闇に堂々と聳えていた。屋根瓦は妖しく黒光りし、白磁の壁はシミひとつない美しさであった。
「舞台は整ったってか。んじゃ、行くとすっか」
左之助が言った瞬間、大手門の扉が八の字に開いた。
暗闇の中に澱むのは、灰色の渦が蠢く破滅への入り口。中は唸りをあげ、阿鼻叫喚の悲鳴が混じった。
「ゾクゾクするね」
総司が唇を歪めると、一足先に平助が飛び込んだ。
「切り込み隊長・藤堂平助!お先!!」
それを合図のように他の者も渦に飛び込んだ。みんなの体は切り揉むように、渦に吸い込まれていった。

