この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第45章 局長命令!すみれを殺せ!!(その一)

【山南視点】
どこかで、叫び声がした。そして、肉を断たれたであろう音。
(……今のは藤堂くん?)
猛吹雪の中で、私は神経を研ぎ澄ませた。
平助に呼びかけたが、応答はない。波動も感じない。
「やられてしまったようですね……」
私は吐息を漏らすと、メガネをかけ直した。
この結末は分かっていた。平助はいい奴すぎた。すみれが修羅に同化していないと信じて……いや、思いたがっていた。
すみれに刃を向けられるはずがなかったのだ。
私は刀の鯉口を切った。
「その気持ちを……利用したのですね?」
後ろに、すみれがいることは気づいていた。
「藤堂平助は私を斬ることを躊躇していた」
すみれは私に薙刀を突きつけた。
血色がないのに、鮮やかな唇。その顔は修羅そのものに見えた。
「八番組組長が聞いて呆れる。ちょっと甘い言葉を囁いただけで、私の術中にまんまとはまったぞえ」
「私は藤堂くんのようにはいきませんよ」
言いざま、私は刀を抜き放つ。刀身に念を込めた。
刀が黄金色に輝いた。
「新選組総長・山南敬助、お相手します」
どこかで、叫び声がした。そして、肉を断たれたであろう音。
(……今のは藤堂くん?)
猛吹雪の中で、私は神経を研ぎ澄ませた。
平助に呼びかけたが、応答はない。波動も感じない。
「やられてしまったようですね……」
私は吐息を漏らすと、メガネをかけ直した。
この結末は分かっていた。平助はいい奴すぎた。すみれが修羅に同化していないと信じて……いや、思いたがっていた。
すみれに刃を向けられるはずがなかったのだ。
私は刀の鯉口を切った。
「その気持ちを……利用したのですね?」
後ろに、すみれがいることは気づいていた。
「藤堂平助は私を斬ることを躊躇していた」
すみれは私に薙刀を突きつけた。
血色がないのに、鮮やかな唇。その顔は修羅そのものに見えた。
「八番組組長が聞いて呆れる。ちょっと甘い言葉を囁いただけで、私の術中にまんまとはまったぞえ」
「私は藤堂くんのようにはいきませんよ」
言いざま、私は刀を抜き放つ。刀身に念を込めた。
刀が黄金色に輝いた。
「新選組総長・山南敬助、お相手します」

